| 外国人から不動産購入には本人確認が大切
最近、外国人が日本の不動産を購入するケースが増えていますが、当然のことながら将来売却をすることが予想されます。
外国人などの海外居住者や海外法人から不動産を購入する場合の注意点は以下の2点です。
●外国人など海外居住者等から不動産を購入するときの注意点
1.源泉徴収
原則的に、買主は売買代金の10%を売主に渡さないで源泉徴収する必要があります。詳細は前項をご参照下さい。
2.本人確認
本人確認をすること、及び登記書類を確実に集めること。
日本人でも運転免許証やパスポートなどの写真が入った公のものがあれば良いのですが、それが無い場合には本人確認を確実にしようとしても限度があります。
これが外国人の場合、特に本人確認が困難であることがあります。
証明する書面そのものが信用が置けるものか判断が出来にくかったり、住所の確定が難しかったりするからです。
国交がない国、国籍を複数持っているケースや住所が多数あるケースなども大変です。
実際に、お客様で次のような例がありました。
悪条件が揃っているケースです。
●状況
守秘義務があるので、名前等は変えてあります。
1.六つの国籍を保有
2.住所はそれぞれの各国に存在し、住所は転々と移転
3.現在は台湾に居住中
4.入国したときの国籍と現在居住している国は異なる
5.登記名義はA国(英語圏)の名前「JHON(ジョン)・・・」つまりカタカナ名
6.現在いる国は台湾で、名前は漢字名「李・・・・」。従って、現在使っている名前は登記してある名前とは全く異なります。
現在は台湾人として居住しているので、当然ながら漢字名です。
7.最終の決済時だけ本人は来日。
このケースでは担当の司法書士の先生は分からないということで直接、法務局の登記官と話し合いました。
登記官の判断が全てと言ってよいからです。
ここで特に問題となったのは、次の点です。
●問題点
1.登記をしている名前(カタカナ)と実際現在使っている名前(漢字)が異なる。日本人の感覚では登記名義の英文名と現在の漢字名から同一人物であるとはとても思えません。
2.本人の確認と住所の移転のつながりが取れない。
日本のように住民票や戸籍で住所を追っていません。
3.現在居住中の台湾とは正式な国交がない。
台湾政府の公の書面を日本国政府は表向き認めていません。
登記官からは「これこれが必要だ」と言われ、お客様からは「日本の登記制度は国際法から外れている」と言われ、板ばさみになってしまったのですが、最終的には、次のような手法を取ることで移転登記が可能となりました。
●手法
本人が台湾の公証人の前で以下のような宣誓をして宣誓証明を作成しました。
1.A国の英文名のこの人物と台湾の漢字名のこの人物は同一であり、自分である。
2.日本に入国したときの住所はこの住所、何年何月何日に出国してB国のこの住所に居住し、台湾には何年何月何日に入国し、現在この住所に居住中である。
3.印鑑を捺印。この印鑑が自分の印である。(実印に相当)
4.サインを書き、これが自分のサインである。
5.以上の文面の日本語訳を添付、その日本語訳を誰が訳したか記名。
(この場合、本人が訳しました)
台湾とは正式な国交が無いので、基本的には台湾の公証人役場の証明も直接認めることができないのですが、実務上ではある機関を使って可能となります。
従って実際にはこの宣誓証明にいくつかの書類が足されます。
こうしてやっと1件落着となりました。
ここでお気づきのように、このとき売主は自分が宣誓するだけですから何でも宣誓する事が可能です。
公証人は確かにこの人はこのように宣誓をしたと証明するだけでその内容が正しいかどうかは一切関知していません。
つまり、本人以外の人でも宣誓をしてしまえば、その書類が出来てしまいます。
さらに言えば、日本語の訳文を添付するのですが、これが英語ならまだしもアラビア語など日本人にとって認知度の低い国語で書かれている場合、その日本語訳をもとに登記官が判断するわけですから、全然異なる訳文となっていても気がつかないことも考えられます。
つまり、登記書類がそろっているからといって本人であるとは限らないということです。
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